……恐ろしい眼だった。


まるでこの世界の何もかもを見透かしているかのような。

その赤い瞳は射殺すように、真っ直ぐに少女を貫いていて。


……この眼は、苦手だった。


そして……男は懐かしむように目を細め、その薄い唇を開く。



【赤い瞳の青年】
「……一体、どうやってここまで来れたんでしょう?」
「皆目見当つきませんが……」



……良く通るのに、宙に融けていってしまいそうな。

不思議な印象の声が、廃れた教室に響く。